フェリーの甲板。町の工場で働くリネットは女友達のポーラに
海軍士官候補生との恋を、遊びではなく結婚にまで持っていくと決意を語る。
●今回の船が出てくる映画
An Office and a Gentleman
1982年公開 アメリカ映画
●あらすじ
シアトルに住む青年ザックは、元兵士の父と2人暮らし。ある日、ザックはパイロットになるため、父の反対を押し切ってシアトルの近くにあるレーニエ基地内の海軍士官養成学校に入学する。鬼軍曹フォーリーの厳しい訓練が続き、ようやく迎えた休日、候補生たちは市民との懇親パーティーに出席することが許される。そこでザックはポーラと、シドはリネットと知り合う。彼女らは町の製紙工場で働く女工だった。
●ここに注目!
1982年の映画興行成績で3位を記録。
リチャード・ギアの人気を不動のものにした作品。最初は、ジョン・トラボルタに出演オファーがあった。大型旅客機の操縦免許を取ることに熱中になっていたため、出演を断ったそう。ジョン・トラボルタは他に、「アメリカンジゴロ」も出演を断っている。ということは、リチャード・ギアの現在があるのは、ジョン・トラボルトのおかげ!? 調べてみると、最初にオファーがあったのは「カントリー・ロード」で知られる歌手ジョン・デンバーだった。 スケジュールが合わなかった、ジェフ・ブリッジスの 次の候補がジョン・トラボルタ。3番手だった、のだ。さらに候補はエリック・ロバーツ、カート・ラッセルと続く。
ポーラ役の有力候補はシガ二ー・ウィーバー、アンジェリカ・ヒューストン、ブルック・シールズ、メグ・ライアン、 ジーナ・デイビス、レベッカ・デ・モネーだったが、いずれもスケジュールが合わなかったり、オーディションでイマイチだったり。 結果、デボラ・ウィンガーに決まった。
タイトルは、直訳すれば「士官と紳士」。士官はわかるとして、リチャード・ギアが紳士???と不思議に思った人も多いだろう。このタイトルはアメリカ全軍共通の法律である「統一軍事裁判法」の一部を抜粋したもの。
「士官や紳士に相応しくない行為で、有罪判決を受けたすべての士官・将校ならびに陸軍士官学校生徒、海軍兵学校生徒は、軍法会議の命令によって処罰される」
出だしのConduct unbecoming an officer and a gentlemanだけを訳すると「士官や紳士に相応しくない行為」となる。これなら意味、納得。
2010年に宝塚歌劇団星組で上演もしている。ザックは柚希礼音 、ポーラは夢咲ねねが演じた。
●ここに船が登場!
ポーラとリネットの気持ちや思惑が明確に示されるのが「フェリー」のシーン。船上で、お互いに本音を語り合っている。
このフェリーの名前はMV KULSHAN。1970年から1982年までワシントン州ピュージェット湾で運行されていた。氷河の侵食が形成した入り組んだ湾が、北はファンデフカ海峡東端のアドミラルティ入江、南はタコマやワシントン州州都オリンピアの街に達するまで続いている。
デビューは1954年、オークランドで「MVクラウン・シティ」という名でサンディエゴとコロナードの間を運行していた。橋が1969年に完成後、活躍の場をピュージェット湾へと変えている。
フェリーは、沿岸警備隊に売却され、ニューヨークへ。現在はマサチューセッツ本ブドウ園の控えフェリーとして、時折働いているようだ。
ポーラとリネットはフェリーの展望フロアから降りて甲板へ。恋バナは尽きない。
実際に働くMV KULSHAN号。映画公開の1982年までワシントン州ピュージェット湾で運行した。
軍艇ももちろん登場。
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