命の危険に脅かされる恐怖を笑顔で隠し、
豪華絢爛な「御座船」は川を進んでいく。
ご紹介の「船が登場する映画」
ANNA AND THE KING
1999年 アメリカ映画
●あらすじ
19世紀後半。シャムと呼ばれていたころのタイ王国に、夫を亡くしたイギリス人女性アンナが一人息子を連れてやってきた。王子たちの教育係として招かれたアンナだが、何十人もの側室や子供たちに驚気を隠せない。環境の違いにとまどい、時には国王にも真正面から異議を唱えるアンナだが、やがて王の聡明な人柄に惹かれていく。
●ここに注目!
渡辺謙がブロードウエイミュージカルに挑戦した作品としても有名な「王様と私」。
チョウ・ユンファ&ジョディ・フォスター共演による、古典名作「王様と私」の3度目の映画化。
アンナの息子役はハリーポッターのドラゴ・マルフォイ君!!!かわいい!!幼い!!意地悪顔でない!ハーレイ・ジョエル・オスメント君かと最初は思いました。かわいい時代のハーレイ君は、2001年「A.I.」(監督・脚本:スティーヴン・スピルバーグ)、1999年「シックス・センス」(監督:M・ナイト・シャマラン)、1994年「フォレスト・ガンプ/一期一会」(監督:ロバート・ゼメキス)で。
「王様」のモデルは、タイ仏教の改革と列強諸国との外交に努めたタイ国王・ラーマ4世。舞台となった時代の衣服や装飾などを丹念に調べた上で製作されたり、身分階級によるタイ語の使い分けも留意されたり、アンナとラーマ4世を描いた作品の中では最も史実に忠実に描かれているという噂。
この話は、イギリス人女性アンナ・レオノーウェンズが家庭教師としてタイ王室で勤めていた時の体験をもとに書いた、1870年に「The English Governess at the Siamese Court」(シャム宮廷のイギリス人女性家庭教師)、1873年には「Siamese Harem Life」(シャムの後宮生活)をベースに、マーガレット・ランドンが小説『Anna and the King of Siam』(アンナとシャム王)を創作。これがミュージカル(1951年初演)や映画(1956年公開)の原作となっている。
アンナの本には創作と誇張が多いと、タイではミュージカルも映画も上演・上映が禁止に。
この映画も脚本がタイ政府の審査を通らず、タイ政府の怒りを買って国内撮影禁止になった。
撮影隊は国外追放、仕方がなくマレーシア南西部ペラ州のイポーの郊外に広がる350エーカーのゴルフ場「クリアウォーター・サンクチュアリー・ゴルフ・リゾート」に巨大で華麗な宮殿・寺院のセットを建てて撮影。ちなみに宮殿だけで7エーカー。ゼロから建設された映画のセットとしては、1963年の超大作「クレオパトラ」以来の最大級のセットとのこと。
撮影は半年に渡り、ペナン島(ペナン島で最も古い中国寺院クーコンシーなど)、ランカウィ島(マングローブの森など)、クアラ・カングサール、パリット、パパン、バトゥ・ガジャ、チェンドラ湖、グア・テンパルンなどマレーシア各地で撮影を行った。
●ここに「船」!
最初から船が登場! オープニングで、アンナが息子を連れて、船でタイへやってくるところだ。
そして、クーデターが起き、国王一族は命の危険に脅かされる中、数十人の一族が全長 46 メートルという豪華絢爛な遊覧船で、森深くの寺院を目指して移動するシーン。この真っ赤な船は王室御用達の「御座船」で、中国風の竜頭が船頭についた全長46メートルだ。この御座船については、詳しくは、バンコクの中心を流れるチャオプラヤー川の西岸、王宮がある側とは反対のバンコク・ノーイ運河を少し上ったところにある「タイ王室の御座船博物館(Royal Barges National Museum)」へ行くといい。8隻の御座船 Royal Barge が置かれている。王室の記念式典の際に行われる御座船行列 Royal Barges Procession でも実際に使われる現役だという。実は、ここは普通の博物館ではなく、むしろ船置き場(ドック)としての役目が大きい。船が定置されている下には運河の水が引かれており、船を降ろして出航できるようになっているのだ。
1999年版には、1956年版の「王様と私」にはあった、最後の船のシーンはなかった。それはどんなシーンかというと、王様に愛想をつかして故国へ戻ろうとするアンナと息子の船が出帆する日、王は心臓発作で倒れるというもの。最後のシーンは1956年版と1999年版は違っているので、仕方がないが。。。どっちが史実に近いかというと、1999年版なんだろうな。たぶん。
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