松田優作と風吹ジュンが激しく交わう横浜の夜。
港はいつしか朝を迎えていた。
●今回ご紹介の「船が出ている映画」
Resurrection of the Golden Wolf
1979年 日本映画
●あらすじ
1964年東京オリンピック直前の日本が舞台。29歳のサラリーマン、朝倉哲也は、経理部に所属し、上司や同僚からの信頼が厚い、真面目で実直・・・というより、風采のあがらない社員だ。しかしそれは表向きの顔で、夜はボクシングジムで鍛練を重ねる裏の顔があった。
彼にはある計画があった。それは、勤務先である東和油脂を乗っ取り、社長の末娘・絵里子をモノにすることにあった。内部事情を入手するため朝倉は、経理部部長の愛人である京子に、堀田という株屋を装い接近。麻薬とセックスで籠絡する。
●ここに注目!
原作は大藪春彦の同名ハードボイルド小説。1998年に真木蔵人主演で再度映画化。1999年にはSMAP香取慎吾主演でテレビドラマ化もされたが内容は全然違うものになっている。
●ここに船!
風吹ジュン演じる重役の情婦役、京子との激しいラブシーン。その前と途中に、ちょこっと、本当にちょこっとだけ横浜港の映像が映り、船も映る。「Hotel OZ YOKOHAMA」で二人が一晩中交わう時間の長さを夜から朝に変わる横浜港の空で表現しているのだろう。このホテルは、優作の『処刑遊戯』にも鳴海の標的、殺し屋の岡島が泊まるホテルとして登場している。
東京湾に残された唯一の自然島で、現在は無人島で、第二次世界大戦時には、本格的な洋式の要塞島であった「猿島」でロケが行われた。ここは松田優作主演映画「野獣死すべし」でも使われている。「猿島」へは横須賀・三笠桟橋から船で10分ほどで着ける。
桟橋のある三笠公園では日露戦争で活躍した「戦艦三笠」が記念艦として保存されており、猿島と往復する船上は海からの「戦艦三笠」を撮る絶好の撮影場所である。ちなみに「戦艦三笠」は1899年(明治32年)にイギリスで起工、スエズ運河経由で横須賀へ。本籍港は京都舞鶴になる。現在の「戦艦三笠」は、軍艦の形をした資料館となっており、世界で現存唯一の前弩級戦艦の艦内で見学できるが上甲板と中甲板だけ。軍艦であった面影は後部地区、甲板のチーク材、トイレットルームのタイル床、錨(鎖部分も含む)、アンカークレーンのみに残っている。
0コメント