世界一、運が悪い奴マクレーン刑事が
夫婦で豪華客船に乗って、のはずが脚本変更に!
●今回の「船が出てくる映画」
Die Hard: With a Vengeance
1995年 アメリカ映画
●あらすじ
N.Y.の5番街。朝の買い物客で賑わうデパートが突然爆破された。「サイモン」と名乗る男からNY警察に電話があり、次の爆破を防ぎたければ、マクレーン刑事をハーレム街に行かせるよう命じられる。停職処分を受けていたマクレーン刑事は犯人の指示通り、ハーレム街で「俺は黒人が大嫌い」と書かれたプラカードを身体にぶらさげて立つと、案の定たむろする黒人達に絡まれるが、ハーレム街の電気修理店主ゼウスに助けられ、逆上する黒人達から無事逃れる。2人が警察署に戻ると、犯人から新たな電話がかかってきた。
●ここに注目!
第1作では高層ビル、第2作では空港と限られた場所を舞台にしていた。この第3作ではニューヨーク全体が舞台で、街中を駆け回り、船で最終決着をつける、と見せかけて、物語はさらなるクライマックスへと続く。
当初は、船上を舞台とした海洋アクション映画の予定であった。クリスマス・イブに豪華客船で休暇を楽しんでいたマクレーン刑事と妻だったが、突如現れたテロリスト達に船がシージャック。
巨大な船の中で銃撃戦が繰り広げられ、機関部に大量の爆弾が仕掛けられる。マクレーンは大勢の人質を救出し、テロリストを撃退する!というストーリー。
しかし、スティーヴン・セガール主演の映画「沈黙の戦艦」が1992年10月に公開し、大ヒット。「沈黙の戦艦」のストーリーは、最後の航海に出たアメリカ海軍のアイオワ級戦艦で、艦長のサプライズ誕生日パーティーのためにやってきたミュージシャンたちが実は元CIAで、テロリストだったというもの。船の種類は違えど、船上でのお楽しみの途中でテロリストにシージャックされて、主人公がやっつけるという大コンセプトが似ていたため、脚本の変更を余儀なくされたと言う。よくありがちな大筋ではあると思うが、どちらも大ヒット作品だったため、二番煎じで「ダイ・ハード」シリーズの名前を汚したくなかったのだろう。
内容変更、と言ってもすぐにアイディアが浮かぶものではない。そのぐらい「ダイ・ハード」シリーズは世界中の期待を背負っていた。そこに目が留まったのが、新進気鋭の脚本家オリジナルのシナリオ「サイモン曰く」(Simon says)だった。「サイモン曰く」というのは、 アメリカの子供の遊びで、一人が命令して、他の子がそれに従うというゲーム。日本の「命令ゲーム」や「王様ゲーム」に似ている。脚本家のヘンズリーはたったの11日間で脚本を「ダイ・ハード」用に書き変えた。
当初の「ダイ・ハード3」の脚本は、後に「スピード2」に使われることになる。
もう一つ注目して欲しいのは、「ボツになった幻のエンディング」だ。
劇場公開版では、マクレーンたちは爆弾が仕掛けられた船から脱出。その後、サイモン一味を見つけ出し、事件は解決という展開になっているが、別バージョンではなんとサイモン達に逃げられている。撮影はしたが「後味が悪い」とプロデューサーが拒否。DVD「アルティメットエディション」やBlu-ray通常版の映像特典で見ることができる。どっちが「ダイ・ハード3」らしいだろうか?実際の目で確かめて欲しい。小説版でも別バージョンの結末が読める。
●ここに「船」!
オープニング。朝焼けの中のニューヨーク港。そこの1隻の豪華客船が写っている。このシーンに、「本当は豪華客船を舞台にした脚本だった」という思いを残した、と思うのは私だけではないはず。船のファンネル(煙突)は白をベースに、頭から後ろに流れるロングヘアのような青色。特徴的なファンネルデザインだが、船名は今の私にはわからない。これは今後、調査を続けていこうと思っている。
物語はニューヨークのいろんなところを舞台に、マクレーンたちが大活躍するのだが、その一つに船がある。犯人サイモンが、奪った金塊を船(タンカー)に乗せて持ち去ろうとしているのをなんとか止めようと、橋の上から船に乗り移るのだ。しかし、マクレーンたちは、すぐに捕まり、柱に縛り付けられる。
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