アラビアのロレンス

船の汽笛とともに、目の前にスエズ運河が画面一杯に広がる。

Who are you? 対岸の男の質問に、ロレンスは答えられず立ち尽くす。

今回紹介する「船が出てくる映画」

Lawrence of Arabia 1962年 イギリス映画

●あらすじ

1916年、英国陸軍カイロ司令部に勤務中のロレンス少尉は、トルコに対して反乱を起しつつあるアラブ民族の情勢を確かめるため3ヶ月の派遣を命ぜられた。ロレンスは反乱軍の指揮者ファイサル王子の陣営へと灼熱の砂漠の中を旅立つが、同じ民族が争うのに愛想を尽かし、ハリス族首長アリの案内申し出を断る。

●注目!

T・E・ロレンス自伝『知恵の七柱』からロバート・ボルトが脚色し、「戦場にかける橋」のデイヴィッド・リーンが監督した。上映時間はなんと3時間48分!

第一次世界大戦勃発前からイギリスは、スエズ運河、シリア、イランなど地中海、中東の方々で権益を確保しつつあった。1914年、第一次世界大戦から2年。1916年6月、アラビア紅海沿岸のヒジャズ地方で、アラブの族長フセインが反乱を起こす。イギリス海軍の情報将校トーマス=ロレンスが派遣され、アラブのゲリラを率いてオスマン軍の鉄道を破壊するなど後方攪乱に飛び回り、1918年9月まで活動した。これが有名な〝アラビアのロレンス〟の実話だ。

●ここに「船」!

白いアラブ服でロレンスは、砂嵐や流砂を乗り越えてシナイ半島を横断、やっとの思いでスエズ運河に辿り着く。しかし、これまでの困難で茫然自失状態になり、顔は砂で真っ白、ラクダに座ったまま一歩も動けないでいると、一緒にいた少年が一人で建物に入っていき、引き返し、ロレンスの手を引っ張り、建物に入っていく。呆然としたロレンスの目の前にスエズ運河が画面一杯に広がる。砂漠の中の水路を大型貨物船が横切るように航行する。スエズ運河は1869年に完成した地中海と紅海を結ぶ運河だ。

このシーンは、アイデンティティを巡って葛藤する、ロレンスという一人の青年の姿が垣間見える大事な場面。スエズ運河の対岸の男から”Who are you?”と問われ、映画の中でロレンスはそれに答えられずにいる。ちなみにこの"Who are you?"を吹き替えたのは、デヴィッド・リーン監督自身だそう。

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クルーズ映画ライター あいさわみき が 船が出てくる映画を気ままにコツコツ書きまとめています。 船の映画 船が出てくる映画 船が舞台の映画 船が登場する映画 あらこんなところに船が!という作品に出会うと、最高にハッピーです。 なので、ハッピーのおすそ分け、それがこのサイトのコンセプトです。